〜投資家の行動パターンから考える、実需オーナーの最適な「売り時」〜
日経新聞の特集『マンション不都合な真実』にて、都心部のタワーマンションに関する興味深い調査結果が報じられました。
タイトルは『タワマン5割で所有者不在 東阪の最上階、登記住所は別』です。
東京・大阪の都心部に建つタワーマンション約300棟の最上階住戸を調査したところ、約5割(東京では約半数以上)の所有者が、そのタワマンの所在地とは別の住所を登記している(=実際に住んでいない)ことが判明しました。
実需(居住目的)ではなく、投資目的や節税目的、セカンドハウスとして所有されているケースが半数を占めているという実態が浮き彫りになった格好です。
■ なぜ「非居住オーナー」が増えると修繕の合意形成が難しくなるのか?
記事の中では、住んでいない所有者が増えることで「管理や修繕を巡る合意形成が難しくなり、将来的に資産価値が落ちる懸念がある」と指摘されています。
では、なぜ投資目的のオーナーは修繕に消極的になりやすいのでしょうか。その理由は、「所有する時間軸(タイムスパン)」の違いにあります。
実需で住んでいるオーナー様は、「15年後、20年後も快適で安全に住み続けたい」と考え、長期的な視点でマンションの維持管理や修繕積立金の値上げに向き合います。
一方で、投資目的の購入者は、「購入から5〜10年程度の期間内で売却して利益を確定させること」を前提に所有しているケースがほとんどです。
彼らにとって、自分が売却した遠い未来(10年以上先)のための修繕積立金値上げは、単なる「利回りを圧迫するコスト増」でしかありません。そのため、修繕計画の話し合いに対して興味を持たなかったり、値上げ案に反対したりすることは、彼らの立場からすれば経済合理性のある行動と言えます。
■ 「所有者不在」は資本主義における自然な構造
「住まない人が増えて管理が乱れるのは問題だ」という議論もありますが、現在の日本の制度や経済環境を考えれば、これはごく自然な現象とも捉えられます。
投資家たちも決して楽をして儲けているわけではなく、空室リスクや価格下落リスクといった相応のリスクを背負って高額なタワマンを購入しています。また、都市部には「買うのではなく、賃貸でタワマンの最上階に住みたい」という一定の需要層が存在するのも事実です。
つまり、「実需層と投資家層が混ざり合い、長期的な合意形成が難しくなる」という課題は、現在の市場構造において一概にどちらが悪と責めることもできず、回避することが極めて難しい問題なのです。
■ 投資家の行動を逆手にとる「自分自身の出口戦略」
この構造を踏まえた上で、マンションを所有する皆様(特に実需で購入された方)が取るべき対策は、ただ管理組合の難航に頭を痛めることではありません。
重要なのは、「投資家オーナーたちの売却時期(出口戦略)を参考にしながら、自分自身はいつ売却すべきか」を戦略的に考えることです。
- 築5〜10年前後:投資家が一斉に利益確定(売り抜け)を動き出し、市場の取引が活発になるタイミング
- 大規模修繕の前(積立金値上げの前):合意形成で揉める前、かつ修繕費負担が増える前のタイミング
投資家が多く入っているマンションにお住まいであればあるほど、「永久に住み続ける」ことだけを前提にするのではなく、周囲の投資家と同じようなタイミングで売却し、資産価値が高い段階で次の住まいへとステップアップするという選択肢を持っておくことが、強力な防衛策になります。
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